良性腫瘍
良性腫瘍

婦人科における良性腫瘍とは、がんのように周囲へ広がったり転移したりする性質を持たない腫瘍のことを指します。命に直接関わる可能性は低いものの、発生する部位や大きさによっては、出血や痛み、不妊などの原因となり、日常生活に支障をきたすことがあります。
婦人科でよくみられる良性腫瘍には、子宮や卵巣に発生するものが多く、代表的なものとして子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸管ポリープ、卵巣腫瘍などが挙げられます。
これらは健康診断や婦人科検診で偶然見つかることも少なくありません。一方で、月経異常や腹部症状をきっかけに発見されることもあります。
良性であっても、症状や将来の妊娠への影響を考慮しながら、適切な管理や治療を行うことが大切です。
良性腫瘍の症状は、その種類や大きさ、発生部位によって大きく異なります。まったく症状がないまま経過することもあれば、急激な痛みや月経随伴症状で日常生活に影響を及ぼす症状が現れることもあります。
子宮筋腫では、月経量の増加(過多月経)や強い月経痛、不正出血、貧血などがみられることがあります。腫瘍が大きくなると、下腹部の圧迫感や頻尿、便秘といった症状が現れることもあります。
卵巣腫瘍の場合は、初期には無症状であることが多いものの、大きくなると腹部の張りや違和感を感じることがあります。まれに、腫瘍がねじれる(卵巣腫瘍茎捻転)ことで急激な腹痛を引き起こすこともあります。
子宮内膜ポリープや子宮頸管ポリープでは、不正出血や性交後出血がみられることがあります。
次のような症状がある場合、良性腫瘍が関係している可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
良性腫瘍と診断されたとき、特に若い方が最も気にされるのは「妊娠できるのか」という点ではないでしょうか。腫瘍の種類や大きさ、できている場所によって影響の程度は異なりますが、すべての良性腫瘍が妊娠を妨げるわけではありません。
子宮筋腫の場合、筋腫の位置が子宮内腔に近い(粘膜下筋腫など)場合には、受精卵の着床を妨げたり、流産のリスクを高めたりする可能性があります。一方で、子宮の外側にできる筋腫では、妊娠に大きな影響を与えないことも多くみられます。
卵巣腫瘍についても、小さいものであれば排卵や妊娠に支障がないことがほとんどです。ただし、大きくなると卵巣機能に影響する場合があります。
このように、腫瘍の「有無」だけでなく、「種類・大きさ・位置」が重要な判断材料となります。
妊娠を妨げていると考えられる筋腫やポリープがある場合、それらを手術で取り除くことで妊娠率が改善することがあります。特に子宮内腔に影響を及ぼす病変では、手術が有効となるケースが多くみられます。
一方で、すべての良性腫瘍に対して手術が妊娠率向上につながるわけではありません。手術には卵巣機能の低下や癒着のリスクも伴うため、年齢や卵巣予備能、妊娠希望時期などを総合的に考慮し、慎重に判断することが重要です。
妊娠中はホルモン環境が大きく変化するため、子宮筋腫が一時的に大きくなることがあります。その結果、腹痛や張りを感じることもありますが、多くの場合は慎重な経過観察で対応可能です。
卵巣腫瘍については、妊娠中にねじれ(卵巣茎捻転)を起こすリスクがあるため、大きさや性状によっては妊娠前に治療を検討することもあります。
いずれにしても、妊娠を希望される方や妊娠中の方には、より丁寧なフォローを行い、母子ともに安全な経過を目指します。
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